なぜ昆布と鰹節の合わせ出汁は旨味が際立つのか

「このお吸い物、なんだか深い味がする」「だし巻き玉子が、やけに美味しい」——そんな感想を引き出す秘密のひとつが、昆布と鰹節の合わせ出汁です。
出汁の奥深さにこだわる瀧さわ家 多賀城店では、昼のうどんから夜の居酒屋料理まで、この合わせ出汁を料理の“土台”として大切にしています。
まずは、昆布と鰹節がそれぞれどのような旨味を持っているのかを見てみましょう。
昆布の「まろやかさと奥行き」
瀧さわ家で使用しているのは、北海道産の真昆布。旨味成分であるグルタミン酸を多く含み、上品でまろやかな出汁が取れるのが特長です。
グルタミン酸の旨味は、角がなく柔らかい。たとえるならば、音楽の“低音”のように、料理全体を支えながらも決して主張しすぎず、素材の風味を引き立ててくれます。
特に季節の野菜や白身魚など、繊細な食材との相性は抜群。昆布の出汁は、それだけで料理に“静かな深み”を与えてくれます。
焼津産荒節の「力強さと香ばしさ」
一方で、瀧さわ家が出汁に用いる鰹節は、焼津産の荒節(あらぶし)です。荒節とは、燻しただけの鰹節であり、発酵を経た本枯節とは異なり、より野趣あふれる力強い旨味を持っています。
この荒節は、仕入れてそのまま使うのではなく、店舗内でいくつかの工程を経てゆるやかに熟成。湿度や温度を適切に管理しながら数日かけて仕上げることで、内部のアミノ酸が増加(ブースト)し、香りと旨味が格段に高まります。
削りたての一瞬の香りに頼るのではなく、時間をかけて育てた節の旨味を最大限に引き出す——それが、瀧さわ家の出汁づくりの核です。
旨味の相乗効果とは?
グルタミン酸(昆布)とイノシン酸(鰹節)を合わせると、脳が通常よりも強く“美味しい”と感じる現象が起こります。これが、科学的にも認められた「旨味の相乗効果」です。
たとえば、グルタミン酸だけの出汁を飲むとやさしい味、イノシン酸だけの出汁は香りとコク。でも、両方を合わせた出汁を口にしたとき、その深さと広がりに思わず舌が驚く——そんな経験はないでしょうか。
瀧さわ家の「だし巻き玉子」は、その相乗効果を活かした代表格。ひと口目から旨味が舌全体に広がり、飲み込んだ後もじんわりと余韻が続きます。決して派手ではないのに、記憶に残る味。その秘密は、出汁にあるのです。
出汁は“引き算”の料理
和食の美味しさは、足し算ではなく引き算の美学と言われます。素材の味を引き出すために、余分な味を加えない。それを支えるのが、出汁という名の縁の下の力持ちです。
合わせ出汁は、昆布のまろやかさと鰹のキレを同時に持ちながらも、決して前に出すぎない。だからこそ、地元・多賀城の新鮮な野菜、旬の魚介、そして滋味深い酒の肴と見事に調和し、料理全体を格上げしてくれます。
多賀城の夜に、出汁で味わう贅沢
瀧さわ家 多賀城店は、昼はうどん、夜は居酒屋営業としての顔も持ちます。出汁を活かした小鉢やおでん、季節の煮物など、ひと手間かけた肴を豊富にご用意。日本酒や焼酎とともに、ゆっくりと味わうひとときが流れます。
仕事帰り、ほっと一息つきたくなる夜。やさしい出汁の香りが立ち上る温かい一皿が、きっとその日の疲れをふっと和らげてくれるはずです。そんな“日常のご褒美”を目当てに、地元の方々がふらりと立ち寄る店——それが、瀧さわ家の夜の姿です。
まとめ
昆布と鰹節の合わせ出汁がなぜ旨いのか。それは単なる素材の組み合わせではなく、異なる旨味が響き合い、ひとつの完成された調和を生むからです。
そしてその調和は、料理人の目利き、素材へのこだわり、日々の仕込みという積み重ねの上にあります。
瀧さわ家 多賀城店で、まずはひと椀。出汁の静かな力を、ぜひ感じてみてください。
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