宮城のセリ鍋はなぜ店ごとに印象が違うのか。三関のせりと、出汁とかえしの話
冬になると、宮城の各地で
セリ鍋を見かけるようになります。
居酒屋でも、食事処でも、
すっかり冬の定番として
親しまれるようになった鍋です。
けれど、
同じ「セリ鍋」という名前でも、
店によって印象が違うと感じることがあります。
それは、
何か特別な工夫をしているからではありません。
何を選び、何を軸にしているか。
その積み重ねの違いです。
セリ鍋という食べ方について
セリは、東北地方で古くから
汁物や鍋に使われてきた野菜です。
とくに冬の根セリは、
香りが強く、
寒い季節の食卓に欠かせない存在でした。
いわゆる「セリ鍋」という呼び名が
いつから定着したのかを
はっきりと断定することはできませんが、
家庭で親しまれてきた食べ方が、
次第に飲食店にも広がっていったと考えられます。
特別な料理というより、
暮らしの中で育ってきた鍋。
それが、宮城のセリ鍋です。
瀧さわ家で使っているのは、三関のせり
瀧さわ家のセリ鍋に使っているのは、
三関で育てられたせりです。
三関は、水と寒さに恵まれ、
せりづくりが長く続いてきた土地です。
現地では、生育の様子を見ながら、
収穫のタイミングを細かく見極める栽培が行われています。
私たちがこのせりを選んでいる理由は、
産地や名前ではありません。
鍋にしたときに、
香りが立ちすぎず、
根が固くなりすぎない。
出汁と合わせたときに、
無理なく、静かに収まる。
その感覚が、瀧さわ家の出汁と合っているからです。
セリ鍋は、出汁の考え方が表れる料理
セリは香りの強い野菜です。
だからこそ、
出汁が前に出すぎると、
全体のバランスが崩れてしまいます。
瀧さわ家では、
昆布と鰹で引いた出汁を、
料理の中心ではなく、
支える位置に置いています。
旨みを足すための出汁ではなく、
三関のせりの青さや根の甘みを
受け止めるための出汁。
一口目よりも、
食べ進めるほどに
じわりと味が整っていく。
そんな鍋を目指しています。
かえしが、味の輪郭を整える
出汁に合わせるのが、
瀧さわ家で使い続けている秘伝のかえしです。
塩味を立たせるためのものではありません。
出汁と素材をつなぎ、
味の角を整えるためのもの。
鍋の中で時間とともに馴染み、
最後の一口まで
飲みやすい味へと導きます。
無意識に、鍋の表情は変わっていく
出汁の取り方にも、
素材の選び方にも、
正解はありません。
それぞれの店に、
考え方と役割があります。
ただ、
何を軸に料理を組み立てているかで、
鍋の表情は、無意識のうちに変わっていきます。
瀧さわ家のセリ鍋は、
三関のせりと、
出汁とかえしを軸に考える鍋。
その積み重ねが、
静かな違いとして表れています。
【冬季限定】瀧さわ家の絶品セリ鍋

派手な鍋ではありません。
けれど、
気づけば箸が進み、
最後は汁をすくっている。
宮城の冬に根づいたセリ鍋を、
素材と出汁に向き合いながら
丁寧に仕立てています。
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